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コラム介護の専門家からみた
「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。
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理学療法士からみた
Sport(エスポート)
リハビリテーション福祉コンダクター
理学療法士
和田 圭市先生
“手すり”と聞いて、みなさんは住宅改修かレンタルのどちらを思い浮かべますか?
ちなみに僕は住宅改修を思い浮かべました。ではなぜレンタルの手すりがあるのでしょう。これが今回のテーマです。
手すりを設置する一番の目的は転倒予防です。歩くときや方向転換、立ち上がり動作で姿勢を変えるときに体重をあずけて動作を安全に行います。住宅改修を利用して風呂やトイレ、廊下には必ずと言っていいほど手すりが設置され転倒予防を図っています。しかし実際は、風呂やトイレより居室や玄関での転倒が多いと報告されています。その理由の一つはスペースで、トイレや廊下はそれほど広くないために手すりがなくても伝い歩きが可能です。それに比べると玄関や居室はスペースが広く支えるものも少ないため、バランスを崩すとそのまま倒れてしまいます。また、居室では手すりを取り付けるための壁が部屋の周囲にあるため、本当に必要な場所に手すりを設置することが難しくなります。
そうすると次の手段として、立ち上がりやすさを求めてベッドを利用することを考えます。ただ、「介護=生活の洋式化」この公式が当たり前になっていることにも疑問を持たなければいけません。70年間布団で寝ていた人が、突然ベッドで寝ることに違和感を覚えませんか?高齢者からはベッドに慣れない、床から浮いていて落ち着かない、狭くて落ちそうなどの声を聞きます。それでもベッドを利用しますか?今まで通り床に布団を敷いて寝る方法はありませんか?布団で寝られない理由は床から立ち上がることが大変だからです。それなら据え置き式の手すりや天井に突っ張るタイプの手すりを利用して床からの立ち上がりをサポートしてはどうでしょう。
今までの生活を無視して家屋を改造することばかりに捉われず、今まで通りの生活が続けられるように工夫することが大切です。欲しいところに簡単に設置できる置けるタイプのレンタル手すりも充実し、場所を問わずに本当に必要な手すりを設置できるようになりました。その人らしい生活を見直して、和式の介護に挑戦してみてはいかがでしょうか。