ファーストリフォーム

ファーストリフォーム -スマホ版-

施工業者様向けの住宅建材
カタログ・インターネット通販

コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

理学療法士からみた福祉用具コラム一覧へ

からみた

手すリハ

コラムを書き始めて9年目に突入しました。今年度のコラムのテーマは“手すリハ”=“手すりでリハビリテーションする”です。なぜ今このテーマなのかというと、手すりや歩行器など移動に関連する福祉用具貸与の給付件数は年々増加傾向にあるものの、未だに福祉用具に関係する人たちの意識が変わらないことに危機感を感じるからです。

つい最近の出来事です。車いすに乗る妻が使っている車いすのゲルクッションから中身のゲルが滲み出ていました。そろそろ新しいクッションを購入するよう声をかけたところ、次はエアークッションを購入すると言うのです。なぜの問いに、妻は「最近の流行りらしくて」と返してきました。一瞬言葉を失ったあと、妻にエアークッションを勧めた車いす屋さんに対してとても残念な気持ちになりました。エアークッションは除圧に優れているため、除圧が苦手で感覚障害のある脊髄損傷の利用者に対してはとても良い商品です。しかし、自分でお尻を持ち上げて除圧ができ感覚障害もない妻にはエアークッションは必要ありません。さらに、座面が柔らかいエアークッションでは体幹の筋力が十分に働かない妻の座位姿勢は不安定になり、身体に余計な力が入り腰や足の強張りにつながる可能性があります。(例えば、バランスボールの上に座ると転ばないように力が入るのと同じ現象です。)妻の身体機能を考慮すると、わずかな除圧と座位姿勢を安定させるゲルクッションが最適なのです。

理学療法士は運動療法などで身体機能を高め、動作分析からその人にあった動作を指導し生活機能の改善を図ります。手すりなどの福祉用具提供や住宅改修は、安全な移動手段を確保することで生活機能の改善を図ります。それぞれ方法は違いますが、生活機能の改善を図るリハビリテーションであることは同じです。しかし、福祉用具専門相談員の多くはモノの運び屋になっており、福祉用具を提供することでリハビリテーションにつながるという意識が欠けているように感じます。その原因は、福祉用具を利用する対象者の身体機能を理解できていないことや、どのように使えば生活機能が改善しリハビリテーションにつながるのかイメージできていないことが考えられます。どんな人が、どんな場面で使う福祉用具なのか、その根拠を説明して相手に理解してもらい、納得して使用してもらえるような福祉用具の提供につながるよう今年度は手すりをリハビリテーションの視点で考えていきたいと思います。

これまでの記事