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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

障害のある方への個別性のある住宅改造(在宅生活支援)にするための確認内容
個別性に対応することが原則

障害のある方々の住宅改造の方法を確認すると、個別性に対応することが原則であるとの記載が多くみられます。障害のある方の生活状況の確認の仕方を考えていきたいと思います。住宅改造の工事の提案箇所は、浴室・便所・居室・玄関の順に多いことが示されています。1)

今回は身体障害のある方を対象に、改造の要望の多い浴室の改造についてお話を進めさせて頂きます。身体障害者手帳をお持ちの方を確認する2)と、7割は65歳以上の高齢者で18歳から64歳が約3割、18歳未満が0.2割とされています。年齢区分により、住宅改造の計画方針に違いが表れてきます。制度は優先性があり、65歳以上の場合は介護保険が優先され、介護保険で利用できない内容は障害者自立支援法を利用し、自治体の実施する住宅改造等が利用可能になります。生活扶助を受けている方は利用が一部制限されることがあります。年齢区分によって利用できるサービスが違いますので、その違いを理解しておく必要があります。

65歳以上の場合は、介護保険サービスの利用を踏まえた支援計画となり、その中で住宅改造の実施が検討されます。報告では、浴室工事は歩行見守り群・立ち上がり自立群で提案に割合が高く、障害が重度になるにつれ提案が除外される傾向にある1)とされています。入浴頻度が少なくなり、施設サービスでの入浴サービスへ移行されることが多く、サービス利用を踏まえた改造計画の検討されることが多くなります。

65歳未満の場合、18歳以上においては障害者自立支援法のサービスの利用に加えて身体障害者福祉法等のサービス、住宅改造等の自治体のサービスが利用できます。希望する入浴頻度に応じて、改造し自宅での入浴または施設での入浴サービス利用もしくはその両方の利用を検討し、改造計画を検討します。65歳未満で40歳以上の特定疾病を持つ方は、65歳以上の場合と同じで介護保険サービスを踏まえた改造計画の検討となります。

18歳未満の方は児童福祉法の対象になります。住宅改造の計画方針の検討は、18歳以上40歳未満の場合と同様になります。児童の場合は、介護者・保護者の今後の生活に対する意向や介護方法の確認が重要になります。

生活機能と浴室改造・介護方法・サービス利用・入浴頻度の関係性では、座位がとれる場合と取れない場合で浴室の改造内容、福祉用具の利用に違いがあることが報告3)されています。改造内容および福祉用具の利用は、座位が取れる方は「手すりの利用」が多く、座位が取れない方は、「広い浴室の使用」、「扉を三枚扉の設置」の割合が多く、「入浴用椅子の利用」、「リフト」の利用が多くなっています。

入浴介助での困りごとでは、座位が取れる方は「浴槽の出入り」、「洗体や洗髪」が多く、座位が取れない方は「抱きかかえ介助全般」、「浴室への移動」、「浴槽の出入り」が多くなっています。入浴サービスの利用では、座位が取れない方がヘルパー・訪問入浴・施設入浴サービスの利用割合が高く、サービス利用理由として、「親の腰痛や疲労、高齢化」、「本人の体格が大きくなった」、「本人の障害の重度化」が挙げられていました。更に、主な介助者の多くは母親で、7割が腰痛を有しています。入浴頻度では、座位が取れる方の毎日入浴者は約4割で、座位が取れない方の毎日入浴は約2割で、自宅外での入浴のみ者が2割でした。サービス利用による入浴者は、サービス提供頻度により入浴頻度が規定され、希望する入浴回数が実現されておらず、希望する入浴回数の実現の支援が必要であるとの意見がなされていました。このことから生活機能が住宅改造内容の検討が可能となります。座位が取れる・座位が取れないといった生活機能により、住宅改造内容の検討が可能で、介助者の健康状態や介助内容よりサービスの利用を検討し、生活の意向から住宅改造による環境改善と入浴サービスの併用利用等を検討する必要性があることが分かりました。

以上より、身体障害のある方の浴室の改造を検討する場合には、①利用できるサービス、②対象者の生活機能、③介護・家族の健康・介助の方針を確認し、支援方針を検討することで、個別性のある在宅生活支援(住宅改造を含む)につながっていくと思います。

※注釈:自治体のサービス等は自治体により運用等に違いがあります。自治体に確認して利用下さい。

参考文献
1)鈴木麻友、三好城興、小栁智華子、白井宏明、日比野新:名古屋市障害者住宅改造事業における住宅改造と身体機能との関連、第47回日本理学療法学術大会抄録集、理学療法supplement、Vol.39、Suppl.No.2、2012年
2)内閣府:障害白書、平成28年度版障害白書、参考資料 障害者の状況(基本的統計)
3)野口裕子、西村顕:在宅障害児・者における入浴支援に関する研究、住総研 研究論文集、No.39、2012年

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