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コラム介護の専門家からみた
「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。
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理学療法士からみた
Sport(エスポート)
リハビリテーション福祉コンダクター
理学療法士
和田 圭市先生
今回のテーマは「車いす」です。
次の2つのイラストを見て何か気になることや違和感はありませんか?
普段よく見る光景ですが、このイラストでは2か所ほどおかしなところがあります。
1つは、患者さんの手が動くにもかかわらず車いすを後ろから押して介助をしている点です。日常の介護の中でついつい後ろから押して過介護になっていませんか?もう1つは、車いすを自分で漕いでいるにもかかわらず、介助時に使うグリップにブレーキがついている点です。車いすは自走することが前提ですが、自分では使えない位置にあるブレーキに疑問は感じませんか?車いすを含めた福祉用具の役割は自立支援です。しかし、普段施設などで目にする車いすは過介護を助長する構造になっていて、周りの人も自然と手を出してしまい自立の妨げになることが多くあります。
前回紹介させていただいた車いすに乗る妻もあちこちで「押しましょうか?」と声をかけられます。もちろんとてもありがたい声かけですが、本当にこの声かけが正しいのでしょうか。そんなとき車いす移動が自立しているか判断するポイントは、背もたれと駆動輪の位置関係です。駆動輪の軸が背もたれよりも前にあればキャスター(前輪)は持ち上がりやすく自走で歩道などの段差を乗り越えることができるため、車いす移動は自立していると考えられます。
ただ、坂道や荷物を持っているときには自走が難しくなります。そんな人を見かけたら「何か手伝うことはありますか?」と、声をかけてもらえると車いすを理解していると感じることができてうれしくなります。
最近、街で車いすに乗る人を見かける機会が増えました。周りの人たちのちょっとした気遣いが障がいのある人の社会参加を促します。皆さんもさりげなくて温かい声かけを心がけ、自立に向けた活動に一役買ってみてはいかがでしょうか。