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コラム介護の専門家からみた
「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。
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理学療法士からみた
Sport(エスポート)
リハビリテーション福祉コンダクター
理学療法士
和田 圭市先生
歩いていたら段差につまづきました。危ない!
そんなとき、皆さんはどうしますか?
実はこれ、杖の使用目的と関係があります。
①足を出して踏ん張るというのは、バランスを保つ反応の1つです。普段、人が立っているときは両足とその間の部分を合わせた面積で体重を支えます。
両足を密着させるとバランスは悪くなり、両足を開くと支える面積が広くなるためバランスは良くなります。支える面積から体重が飛び出したときにバランスを崩し、何もしなければそのまま転んでしまいます。しかし、バランスを崩したからといって転ばないのは、足を一歩踏み出して支える面積を広げる反応によりバランスを保つことができるからです。例えば電車に乗っていて大きな揺れがあると、大きく足を開いてバランスを保つのはそのためです。
②手を出すというのは、手も利用して体重を支える面積を広げることで身体を守ることができるからです。足だけでは支える面積を広げるのにも限界があるため、手も使って3点で支える面積を広げバランスを保ちます。1歳児が二本の脚で歩くより、四つ這いで移動するほうが転びにくいのはそのためです。ただし、成人が普段から手を突いて歩くことは難しいため、手の代わりに杖を突いて歩きます。では、左膝が痛いとき杖は右手と左手どちらで使用するとよいでしょうか?答えは右手です。杖は手の代わりと言いましたが、手や足のように十分に体重を支えることはできません。もし痛みのある側に杖を突くと、足の代わりの機能(支持力)を求められてしまうため杖に体重がかかり過ぎます。T字杖は体重の20%前後しか支えることができないため、足の代わりではなく痛みのある足に体重がかかり過ぎないようにすること(免荷)が杖を使用する目的となります。
③あきらめてそのまま転ぶ前に杖を突きましょう。“転ばぬ先の杖”。適切な杖の使用で転倒や骨折を予防してください。