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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

スロープの選択は慎重に!

ある研究で、高層マンションの上層階に暮らす子供は、下層階に暮らす子供に比べて、屋外で過ごす時間が短いとの報告があります。このことから、外出しやすい環境があることで外出する機会が増え、外出にひと手間かかる場合は外出機会が減少する可能性があります。移動機能が低下した場合は、外出するための環境整備は注意が必要になります。

屋外などでスロープと階段が併設されている場合、多くの人はスロープを選択します。しかし、坂道は階段よりも姿勢が不安定になり、昇降に力が必要になります。

装具を使う人や歩行器を使用する人は、スロープを移動することで転倒する可能性が多くなります。

歩行器を使用する場合、歩行器を持ちあげ、歩行器を前に置き、歩く動作を繰り返します。坂道の途中で、歩行器を持ちあげる動作は、重心を後ろに促すことになり、その際に転倒の危険性が増します(図1)。短下肢装具(足首の固定装具)は足首を約90°に固定し、その足首で床に接地し歩行します。足首を90°に固定していますので、坂道の角度の分だけ重心を後ろに促し、転倒の危険性が増します。

図1)歩行器使用と重心の移動

筋の活動から坂道の昇降を見てみます。筋活動は、長さが変わらずに筋活動をしている場合を等尺性収縮、筋肉の長さを変えて力を発揮する場合を同張性収縮と呼びます。等尺性収縮は、荷物を持ち挙げる際の求神性収縮、荷物をゆっくり降ろす際の遠心性収縮に分けられます。最も力が必要となるのは、遠心性収縮になります(図2)。リハビリテーションでは力をつけて頂きたい方に、遠心性収縮を用いています。

図2)筋収縮の種類

話しを坂道に戻すと、坂道を上る際の筋活動は求神性収縮、坂道を降りる際は遠心性収縮となり、坂道の昇降には比較的力が求められます(図3)。さらに、坂道の上では重力が斜めにかかり不安になり、転倒の危険性が増します。

スロープを選択する際は、車椅子を使用している方で、坂道を苦にしない介助者が支援する場合が良いと思います。

図3)坂道昇降と筋収縮

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