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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

冬場の入浴は危険がいっぱい!
心肺停止や熱中症の注意

冬場になると入浴時の心肺停止事故が増え、それを防ぐ入浴環境の実現と安全な入浴方法を身につけることが必要になります。

入浴時の心肺停止事故は、12月から1月にかけて多く発生します。事故は65歳以上の高齢者に多く、80歳前後に最も多く発生していました。高齢者人口10万人あたりで、12月から1月の間に1日0.8~1.0件の心肺停止事故が起こっていました。我が国において、年間の入浴中の急死者は約1万9千人、65歳以上の高齢者では約1万6千人と推測され、心肺停止事故の発生件数は、最低気温に影響を受け、気温が低い場合にその発生が多くなることが報告されています。

心肺停止に至らず救出された方々は軽度の意識障害があり、温浴による体温上昇の結果引き起こされたことが示されています。人の実験から43℃を超える高温浴が短時間に体温を上昇させ、高温浴が脳機能の低下をきたし、結果的に意識障害となることが示されています。心肺停止で救出された方々の特徴から、高温環境暴露による体温上昇が起こり、軽度意識障害・高体温・頻脈となっていました。つまり熱中症になっていたことが示されているので、これを防ぐ必要があります。

●入浴事故の予防対策として以下の内容を周知することが示されています。

  • ①入浴事故はお風呂で体が熱くなりすぎるために起こる。
  • ②体が熱くなりすぎるのは湯が熱いときと長風呂のとき。
  • ③体が熱くなりすぎない入浴方法は、41℃未満10分以内が良い。
  • ④お風呂に入っても寒いと熱いお湯に入りたくなるので、浴室や脱衣所を暖房するのが良い。

●住環境の配慮として以下の項目が挙げられています。

  • ①浴室および脱衣所の暖房を行う。暖房では室温を上昇させるような暖房が望ましい。
  • ②新規住宅着工では浴室を含めた住宅の断熱性向上が考慮されなければならない。

●浴室・浴槽の工夫として以下が挙げられています。

  • ①警報装置・呼び出しボタン等を設置することが早期発見や予防に資すると考えられてきたが無効である。
  • ②浴槽内水温設定温度をもとにした入浴限界時間が算出でき、これを超えた場合の水温低下、お湯の排出機構を備えることで、高温長時間の入浴ができなくなる機能の開発が必要。

住宅改修において、居室から脱衣室・浴室間の温度の変化が少ない環境を実現すること、可能であれば住宅の断熱性を高める事が必要です。それに対して、入浴時の熱中症の症状により意識障害状態になった場合、使用困難となる警報装置および呼び出しボタンに関しては必要性がありませんでした。住宅改修においては、必要な情報や知識を持ち対応することが重要だ思います。

これらに加えて、支援の対象となる高齢者およびその家族・支援者に、入浴温度・入浴時間等の“安全な入浴方法”を知って頂く機会を作る必要があると思います。居住環境を変えるだけではなく、使用方法についての情報・知識を持ち、生活を支援していく必要があると思います。

参考文献:入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 代表研究者 堀進悟 平成26年3月

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