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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

男性が排尿しやすい姿勢は?
立ち座りがしやすいトイレ環境が必要

外出先で男性トイレに向かうと殆どのトイレで立ち小便器を見かけます。しかし、女性のトイレでは、立位での排尿するための設備を見ることはありません。しかし、日本において、女性用の立ち小便器は存在し使用されていたことをご存知でしたか。

現在は改修されている国立競技場にその便器は設置されていました。女性用の立位排尿便器は1951年から1971年まで国内で生産され、「サニスタンド」との名称がついていました(図1)。慣れると便利で使いやすいと評判でしたが、「年頃の娘に変な習慣を付けさせないでほしい」との強い要望で使われなくなったようです。膝の疾患や股関節の疾患の方には、使いやすい可能性があるのではないかと思います。

話を本題に戻しますが、男性が排尿する際の姿勢は、立位が良いでしょうか、それとも座位が良いでしょうか。

おむつを作っている会社の調査では、自宅での排尿姿勢は立位が48.7%、座位が51.3%で、座位派が立位派を上回っていました。年齢別にみると20~30代の男性でどちらかというと座位派を加えれば、座位派が50%を超え多数を占め、年齢が上がるにつれ立位派が増えていました。外出先では立位が91.1%、座位が8.9%でした。こちらも年齢が上がるにつれ、立位派が増えていました。

男性の排尿は立位と座位では、どちらが良いのでしょうか。

障害や病気を持っていない健常の人の場合は、立位と座位で大きな差は見られないと報告されています。しかし、下部尿路症状がある方は、座位において排尿時間は増加していたが、残尿量が少なかったとの報告があります。健常の人は立位でも座位でも変わらないが、下部尿路症状がある場合は、座って排尿する方が良いことになります。

それでは、下部尿路症状とはどういったものでしょうか。前立腺肥大症・前立腺炎・前立腺がん等の前立腺の疾患、膀胱炎・間欠性膀胱炎・膀胱がん・膀胱結石・膀胱憩室・過活動膀胱等の膀胱の疾患、尿道炎・尿道狭窄・尿道憩室等の尿道の疾患が下部尿路における疾患です。

前立腺・膀胱・尿道に疾患を持っている男性の場合は、座位で排尿がしやすいよう立ち座りがしやすいトイレ環境の調整が必要になってくると思います。

男性のトイレの改修を行う際には、下部尿路の疾患がある場合は、座位で排尿することを前提に改修方法を検討する必要があるようです。

参考資料

1)立つか座るか?トイレの排尿姿勢で「ちょいモレ」に影響あり!?
https://jp.lifree.com/ja/sawayakamen/research/r5.html

2)立位排尿と座位排尿が前立腺肥大患者に与える影響:
Ype de Jong ,et. al. Urinating Standing versus Sitting: Position Is of Influence in Men with Prostate Enlargement. A Systematic Review and Meta-Analysis. uly 22, 2014 DOI journal.pone.0101320

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