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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

手すりを使って転倒を予防する方法
足趾そくし(足の指)のトレーニングで転倒予防

東京都で平成29年の1年間に約8万人の高齢者が救急搬送され、その中で「ころぶ」事故が最も多く82.3%を占めていました。その発生率は、80歳代前半、80歳代後半、70歳後半、90歳代前半と後期高齢者に多くなっています。

「ころぶ」事故の発生場所は居住場所が最も多く約半数を占め、道路・交通施設は36.0%より多く発生しており、事故の約3割に入院等が必要な中等症以上でした1)

高齢者の転倒の危険要因として、下肢筋力の低下、姿勢制御能力の低下が実証されています。更に、足趾把持そくしはじ力(足の指でしっかり握る力)が強い程、安定した姿勢が保持できることが示されています2)

体の筋力の指標として握力が用いられますが、高齢者は健常成人の71.2%、足指把持筋力は48.3%と下肢筋力の低下は加齢の影響を受けやすくなっています。また、最大筋力を発揮するまでの時間は、健常成人に比べると214.3%と倍の時間を要しています3)。これらの結果、転倒が多くなると言われています。

足趾把持筋力トレーニング4)を行うことで転倒の予防ができます。方法は①タオルギャザー(図1):椅子座位で足趾を使いタオルをたぐり寄せます、50㎝程度のタオルを両足で6回程度。②ビー玉つかみ(図2):座位でビー玉等を足趾でつかみます。両足交互に20個程度のビー玉を箱から箱へ移すこと3回程度。③足趾歩行(図3):立位で足趾をたぐり寄せる要領で2m程歩きます。これらを繰り返すことで効果が得られます。

転倒予防は実際の動作に近い方法で行うことで、その効果が得られるとされています。ここで手すりの登場です。足趾歩行を行う際には、転倒の危険を予防する必要があります。③で挙げた足趾歩行は、廊下やトイレ等に設置されている手すりを使用すれば、安全にトレーニングをすることができそうです。手すりは生活行為の安全性を高めるだけではなく、身体機能の維持・向上にも役立ちます。

足趾把持筋力トレーニングは、早い段階で行うことで、転倒を予防できるとされていますので、高齢期になる以前から備えることも必要です。皆さんも是非、実践してみて下さい。

※注釈:足指および足趾は引用した論文に使用されている表記をそのまま用いました。

引用文献
1.東京消防庁:救急搬送データから見る日常生活事故の実態 平成29年
2.竹井和人、村田伸、甲斐義浩:足趾機能と静的・動的バランスとの関連 –内容的妥当性の検討-、西九州リハビリテーション研究、Vol.2、pp.13-19、2009
3.村田伸、甲斐義浩、田中真一他:健常成人と高齢者における足把持機能の比較、理学療法科学、Vol.22、No.3、pp.341-344、2007
4.金子諒、藤澤真平、佐々木誠:足趾把持筋力トレーニングが最大速度歩行時の床反力に及ぼす影響、理学療法科学、Vol.24、No.3、pp.441-416、2009

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