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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

健口寿命と健康寿命
誤嚥性肺炎を予防するために

介護予防と言えば、運動器の機能向上、栄養改善、あと1つは何でしょう?

答えは口腔機能の向上です。僕はいつも地域支援事業として、栄養士や歯科衛生士と一緒に介護予防教室に回っていました。口腔機能の低下は、摂食嚥下機能等の低下を引き起こし低栄養につながるだけでなく、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあるため口腔機能の向上がプログラムに組み込まれています。

食事をする際に食べ物を噛んで飲み込むと、飲み込んだ食べ物は食道を通って胃へ入っていきます。しかし、高齢者や脳血管障害などの病気によって口腔機能が低下している人は、唾液や飲み物、食べ物が食道を通らず誤って気管から肺に入り込む誤嚥が起こります。口腔内の細菌が本来の胃へたどり着けば胃酸によって殺菌されますが、誤嚥が起こると気管から肺へ入り込むため口腔内の細菌を殺すことができず誤嚥性肺炎が起こります。

高齢者は体内の水分量が少ないことや服薬の影響などで唾液が出にくくなっています。唾液量の減少により口腔内が乾燥すると、唾液の役割である粘膜保護や自浄作用、抗菌作用などが働きません。口腔内の乾燥から虫歯菌や歯周病菌が増殖し、誤嚥性肺炎の原因菌になるわけです。さらに、睡眠中無意識のうちに唾液が気道へ流れ込むと、異物が気道内へ入ったときの咳やむせなどの反射が起こらず不顕性誤嚥(むせない誤嚥)による誤嚥性肺炎を引き起こします。このような誤嚥性肺炎を予防するために口腔機能の向上が必要になります。

口腔機能の向上として歯磨きで口腔内を清潔に保つことも重要ですが、口腔粘膜マッサージをお勧めしています。指やスポンジブラシなどを口の中に入れ、頬の内側を上下に、唇と歯ぐきの間を左右に動かし、上顎、舌の上、舌の下をマッサージすることで唾液の分泌を促す口腔ケアです。3か月の地域支援事業でも十分な効果がみられ、「食事がおいしくなった」「口の乾燥が気にならなくなった」などの声が聞かれました。健口寿命を延ばすことは、健康寿命を延ばすことにつながります。心身のケアに加えて、口腔のケアも取り入れてみませんか。

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