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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

排泄行為が楽に行えるトイレ環境
一生のうちトイレで過ごす時間は約3年

みなさんは、1日に何回ほどトイレで排泄をしますか。

世界トイレ機関が行った「トイレに関する調査」では、一生のうちトイレで過ごす時間は約3年との調査結果を示しています。トイレを利用する回数は1年平均で2500回、1日に換算すると平均して8回トイレに行っているようです。1回に費やすトイレの時間は、女性で2分33秒~3分、男性で1分24秒~1分53秒という結果でした。

尿が近い、尿の回数が多い症状を頻尿といいます。頻尿の原因の一つに過活動膀胱があり、日本では800万人以上が罹患し、60歳代を境に有病率が増加し、70歳代の約30%、80歳以上では35%以上となっています。

トイレを使用する際に、苦痛や困難があれば、日常生活に影響を及ぼすことが考えられます。年を重ねるにつれ、トイレの使用頻度は高くなり、快適に過ごせる必要があると思います。

女性の場合の排尿をする際のベストポジションがあるのをご存知ですか?足の裏を床にきちんと付けて座り、上半身は少し前かがみに。そして腰は浮かさない。腰を浮かすことで、膀胱に30%ほど尿が残ってしまうそうです(図1)。

(図1)女性の排尿の際のベストポジション

ベストポジションを実現するには、便座の高さを使用する人に合わせる必要が出てきます。足を床につけた姿勢で便座に座るには、使用者の下腿の長さに便座を合わせます。膝関節屈曲90°、足関節90°の座位姿勢において、床面から膝うら(膝関節列隙)を計測します。その高さになるように座面の高さを設定します(図2)。

(図2)座面の高さと身体を合わせる基準

ここで注意が必要になります。便器は通常、便座とは別売りされることが多くあります。建築関連の職種の方々は、便器の高さを座面高に設置することもありますので、便座を含めた高さとして座面高を合わせるようにします。洗浄機能付きの便座や暖房機能付きの便座を使用する際には、便座の厚みを加えた座面の高さにしましょう。

排尿のベストポジションを実現することで、毎日の排泄行為が楽に行えるようになり、健康寿命を延ばすことにつながっていくと思います。

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