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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

排泄の工程とトイレの改修方法

日本とアメリカの公共トイレの違いを紹介した動画が大きな話題になっていますが、皆さんご存知でしょうか。日本のトイレが清潔でほとんどの施設で洗浄機能付きトイレがあるのに対して、アメリカのトイレは洗浄機能付きトイレどころかひどい使われ方もするし、ドアに隙間があって中で排泄している様子が丸見えだという内容の動画です。日本のトイレがアメリカで流行しそうですね。

今回は、障害や症状別のトイレの改造方法を紹介したいと思います。排泄行為を行う際には、①トイレへの移動、②トイレのドアの操作、③便座への立ち座り、④排泄、⑤お尻を拭く、⑥便器の洗浄・手洗いといった工程を取ります。それぞれの工程で、困難になる疾患や症状をあげ、それぞれの工程での解決方法を紹介させて頂きます。

①トイレへの移動

歩行機能の低下、機能性失禁等で尿意を知覚してから排泄までの時間が短い場合等があると、トイレに行くことが困難になりやすいです。これらの場合は、トイレまでの経路に手すりを設置する等の移動方法の安全性を確保する方法、トイレを当事者の生活スペースに近づけ新たにトイレを設置することや福祉用具のポータブルトイレを使用する等の対処法があります。

②トイレのドアの操作

立位での姿勢保持が得意ではない片麻痺や筋ジストロフィーなどの疾患、リウマチや片麻痺など手指の操作の障害などがあるとトイレのドアの操作が困難になりやすいです。これらの場合は、姿勢を安定させるためにトイレの入り口に手すりを設置する方法、トイレのドア開閉の際に姿勢変化が起こりにくいようにするために引き戸・折り込み戸へ変更する方法、トイレのドアノブを把持しやすいものに変更する方法などが挙げられます。

③便座への立ち座り

下肢筋力の低下、片麻痺等による運動機能障害、円背等があると便座への立ち座りが困難になりやすいです。これらの場合は、手すりの設置、福祉用具の補高便座を使用、昇降便座を使用することで立ち座りを容易にする方法が挙げられます。

④排泄

排泄までに時間がかかる知覚障害や脊髄系の障害により起こる尿が出にくくなる神経因性膀胱、脳卒中などによる尿がとまらない神経因性膀胱等の尿の障害に加え、排便に時間を要する排泄困難が挙げられます。これらの場合、排泄時間が長くなるようであれば安楽な姿勢を取る方法、腹圧をかけやすくするために足底が容易につくように環境を変えること、少し体が前にもたれられる手すりの設置(図1)での対処方法が挙げられます。

⑤お尻を拭く

円背など、片麻痺による手指の運動機能障害、リウマチなどで手指の操作時に痛みがあるが場合、肥満傾向のかたがお尻を拭く行為が困難になりやすいです。これらの場合は、洗浄機能付き便座を使用する方法、手指の機能障害でトイレットペーパーの切り取りが困難な場合は片手用ペーパーホルダーを設置する方法が挙げられます。

⑥便器の洗浄・手洗い

パーキンソン病等の姿勢反射障害、立位等でふらつくような感覚障害や運動機能障害の場合、手洗いや洗浄レバーの操作が困難になりやすいです。これらの場合は、トイレ洗浄をリモコンで操作できるようにする方法とスペースの確保が課題になりますが、手洗いを別途便座に座った際に利用できるようにする方法などが挙げられます。

トイレのそれぞれの工程で苦手になるだろう障害や疾患、それぞれの工程での対応方法を挙げさせて頂きました。トイレの改修を行う際には、どの工程ができないのかを十分に把握しておく必要があります。

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