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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

すりつけ板は使い方を考えて!
歩行者にとって転倒の可能性が増大

高齢者の3人に1人は、1年間に1度以上の転倒を経験するとされています。

転倒は死亡につながる現象で、転倒による死亡率は、高齢になるにつれ増大していきます。2013年の不慮の事故による死亡数を構成割合でみると、窒息24

.5%、転倒・転落19.6%、溺死19.0%、交通事故15.3%であり、転倒・転落が交通事故よりも多い割合で発生しています。溺死の多くが浴槽への転倒・転落で生じていることから、実際には転倒・転落が占める割合はもっと多くなるはずです。

転倒による骨折は、身体機能に多くの影響を及ぼし、深刻な問題となります。全転倒の内5~10%に何らかの骨折が発生し、1~2%に大腿骨近位部骨折が発生するとされています。転倒は大腿骨近位部骨折の発生原因の77

.7%を占め、90歳以上限れば84.1%が転倒によるものとされています。

つまり高齢になるにつれ、転倒を予防する必要性が出てきます。転倒の対策として、住宅を改造することで対応できることが多くなります。

しかし改造を実施することで、かえって転倒が多くなる場合があります。今回はそういった事例を紹介したいと思います。

家屋内での段差がある場合、すりつけ板を設置することがあります。このすりつけ板の使い方を間違えるとかえって転倒が多くなる場合があります。

すりつけ板は、原則、車椅子や歩行者等のタイヤを転がして、移動する場合には、段差を越える際に有効な手段となります。しかし、歩行している人にとっては、転倒の可能性が増大してしまいます。

すりつけ板に足を載せないで段差を越えようとする場合、すりつけ板の幅の分だけ、大きな歩幅を取る必要が出ていきます。人は高齢になるにつれ、歩幅を狭くして歩くようになってきます。若いころには、つま先を上げて歩行できていましたが、高齢になるにつれ、歩行時のつま先の上りが少なくなってきます。すりつけ板を設置することで、大きな歩幅を取ることを求められてしまいます。それが転倒の要因になってしまうのです。

歩幅を小さくするために、すりつけ板の上に足を載せて段差を越えようとすると、すりつけ板の上面は角度がついており、足を載せると体の重心が後ろに移動してしまい、これまた転倒の要因になってしまうのです。

すりつけ板は、タイヤを使用して移動する車椅子、歩行車の使用の際に設置する以外では、注意して使用する必要があります。

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