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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

環境が生活行為を誘導する。
生活行為に配慮した住宅改修が大切

人が生活行為を行う際に、環境から受ける影響は大きく、環境により、行為の方法や内容が変わることが多くあります。私が学生の頃には、高齢者・障がいを持つ方々の生活を理解する目的で、おむつを自身で着用し、排泄する実習がありました。今の世の中では、実施するには課題が多いことと思います。しかし、その体験から学んだことは今でも鮮明に思い出すことができます。

おむつを着用して、場所を気にせず排泄することは可能でしたが、排泄しても良いと思っていても排泄することができませんでした。人が往来する場所では排泄できず、人が通らない場所でも排泄できませんでした。結果的に、トイレで便器の前に立つことでようやく排泄することができました。排泄するにも環境が大事だと思う経験でした。

生活行為を行うには、生活環境が大切です。排泄するには排泄できる環境、入浴するには入浴できる環境が必要になると思っています。排泄するには便器に座り、排泄し、処理を済ませて、立ち上がり、トイレを後にします。排泄しやすい環境は、立ち座りしやすい環境、排泄が行いやすい環境、排泄の処理がしやすい環境、衣服の処理がしやすい環境が挙げられます。これまでに手すり等の設置で、立ち座り、衣服の処理、排泄のしやすさ等の話をしてきました。今回は、立ち座りしやすい環境を考えていきたいと思います。

住宅改修の現場で、違う形での改修ができなかったかと思う改修がトイレで多いように思います。具体的には、和式便器を洋式便器に交換し、立ち座りしやすくすることを目的にした改修で、850㎜×850㎜の大きさの場所に洋式トイレを設置している改修です。

狭い場所に洋式トイレを設置するので、トイレの便器を45°の角度をつけて設置し、立ち上がる様にしている改修をよく見かけます(図1)。

人が座位から立ち上がる際には、体幹を前屈させて立ちあがります。その際に体の前方にスペースが必要になります。これらのスペースがない場合、必要以上の力が必要になり、立ち上がりしやすいとは言い難い環境になり、時には排泄を困難にする場合さえあります。

立ち座りを容易に行うためには、体幹を前屈できるスペースを確保することが大切になります。その方法としては、便器前方のスペースを確保するために、トイレとタンクを別々に設置する方法(図2)、立ち座りの際にトイレの外の手すりを利用する、トイレの前方のスペースをトイレに取り入れる等、様々な方法が検討できます。

その上で、立ち座る為の体重心を誘導する縦手すり、立ち座りの力を補うための補高便座およびプッシュアップ用の横手すりの設置を検討していくことで、環境を味方につけた使いやすいトイレの改修につながっていくと思います。

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