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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

浴槽のまたぎ段差を小さくするには注意が必要!!!
現場や対象者に合わせた対応が大切。

介護保険制度の住宅改修制度を利用した要介護高齢者では、介護度が優位に改善し、日中の生活での動く頻度や外出の頻度が改善されたとの報告があります。しかしながら、適切な改修を行えない場合、生活機能の向上を得られない場合も少なからずあり、改修を行う場合は、対象となる方の障がい、生活機能や生活の遂行状況を充分に把握することが求められます。

生活機能の低下により、浴槽の出入りに困難を感じていた入浴好きのAさん、Bさんが、浴槽の深さを浅くすることおよび浴槽のまたぎ段差を解消(小さく)することを目的に住宅改修を行いました。

浴室の使用および入浴状況を住宅改修後に訪問させて頂き伺う機会がありました。

Aさんは、普段、認知機能の低下があり、改修前は介助者が入浴を促し、浴槽の出入りを介助していました。本人及び介助者にとって、浴槽の出入りが苦痛の種でした。改修後は、Aさんは自身で浴室に行き一人で入浴するだけではなく、日中には浴室の掃除を自身で行うほど浴室で過ごす時間が増え、浴室の改修に満足していると話していました。

それに対して、Bさんは、それまで苦労しながらも一人で浴槽の出入りを行っていました。改修後は浴槽には容易に出入りできるようになりました。しかし、浴槽につかりますが、みぞおちの下までしかお湯が溜まらず、浴槽から立ち上がることが難しくなり、ひとりでの入浴が困難になり、浴室の改修に満足をしていないと話していました。

AさんとBさんで、どうしてこのような違いが生じたのでしょうか。

Bさんのお宅の浴室を見せて頂いた際に、その要因がわかりました。Bさんの浴室は、幅900㎜程度、浴槽の幅は800㎜と比較的狭い浴槽でした。

その為、またぎ段差を解消(小さく)することで、お湯が入る量が少なくなり、浴槽内での浮力を得られなくなり、比較的小柄でふくよかなBさんは、浴槽内での立ち座りが困難となっていました。改修前に浴槽での動作等を確認しておく必要があったと思います。

狭い浴室、浴槽の場合、浴槽のまたぎ段差だけに捉われず、浴槽の出入りで手すりや福祉用具等の利用を検討することも必要です。また、対象となる方が小柄な場合も一般的な寸法に捉われず、対象者に合わせた寸法に調整することが必要となります。

「帯に短したすきに長し」とならない様、対象者の個体差(体格)や障害の状況、生活機能、生活の遂行状況を把握し、住宅改修計画を検討しましょう。

※参考文献:横塚恵美子、二戸映子、鈴木鏡子、安積晴美:介護保険制度を利用した住宅改修による生活機能への影響、理学療法科学、Vol.25、No.6、pp.855-859、2010

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