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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

“見る”と“聞く”では大違い!
実際に行っている様子を確認して改修方針を具体化

以前、あるおばあさんの家のトイレの横手すりが、床から1100mmの高さに付いていることを聞きました。便座に座ったら肩の高さに横手すりがあることになります。なんで、そんな高さに?と思っていました。ある時、そのトイレを拝見させて頂く機会があり、どの様に使っているかを見せて頂きました。すると、便座の上で和式便器を使用する姿勢を取り(図1)、排泄姿勢を見せてくれました。

便座の上での姿勢

よくよく聞くと以前より脊柱管狭窄症や感覚障害があり、排便に時間を要していたが、便座の上でまたいで排泄すると出やすかったので、それ以来、便座の上でまたいで排泄するようになったとのことでした。和式便器は排便しやすいというお話ですが、それは次回に紹介します。この時は、見ると聞くでは大違いと感じた体験でした。

話は変わりますが、千葉県で提出された介護保険の住宅改修における理由書の記載内容を分析した研究があります。その研究において、「改善しようとしている生活動作」が自由記載によって具体化されていない事例は全体の35%とされています。とくにその割合が高い動作は、「浴槽内」や「洗い場」での姿勢保持、排泄での「後始末」や「姿勢保持」、「衣服の着脱」で6割を越え、「浴槽の出入り」も5割を越えていたと報告されています。

更に、「便器の立ち上がり」が「立ち上がり動作」であることが特定される記載が7割以上でなされ、「浴槽の出入り」が「段差を降りる動作」であることを特定する事例が少なくとも15%程度存在していたとしています。

浴槽内での動作や排泄に関する様子は確認しにくいので、本人さんの希望を聞くことで、対処しているのでこのような結果になっているのではないでしょうか。

対象ご自身のお話を聞くこと、生活環境を確認することで多くの情報を集めることが可能になると思います。それに加えて、実際に行っている様子を確認させて頂くことをお勧めします。

私は住宅改修に関する内容で立ち会う際には、できる限り、日常で行っている生活行為の一連の流れを行って頂くようにお願いしています。見ると聞くでは大違いですから。

生活行為を行って頂いてようやく、これが困難だった、ここでふらつく、ここをつかんでいるとかを把握することができています。そうして、把握した内容から、改善する方法を検討し、ここにはこの高さの手すりを考えている等々、説明し、改修方法を確認していました。それらができていると改修の方針や内容がより具体化でき、△△が困難だから、それを○○することで、△△を改善するといった具合に説明することが可能になると思います。

動作や行為の確認をするのに不安をお感じの場合は、介護やリハビリをお仕事にしている方々とお仕事ができる環境を検討することをお勧めいたします。色々な職種の方々と情報を共有し、お仕事を進められるといろいろなアイディアをもらうことができると思います。

引用文献
鈴木晃、坂東美智子:介護保険制度による住宅改修の目的動作 「理由書」標準洋式の記載内容による分析、
日本建築学会計画系論文集、Vol.74、No.637、pp.523-532、2009

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