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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

排泄しやすさは筋肉を緩めることから!
長時間トイレに座ることを改善するために

トイレに比較的長い時間座っていると足が痺れることありませんか。その為、トイレから出た後、足の感覚がなくなり、歩きが不安定になったり、ふらついたりすることを経験したことはありますか。

トイレに長い時間座ると足が痺れる症状が引き起こされる要因に、筋肉が影響を与えていることをご存知でしょうか。便座に長い時間座ることで内またに近づく姿勢となります。内またの座位姿勢では、大腿骨の外旋筋である梨状筋が伸張されます。伸張された梨状筋の背後を走行し、梨状筋下孔から出ている坐骨神経・下殿神経等が圧迫され(図1)、足の痺れにつながり、転倒を引き起こします。これが梨状筋症候群と呼ばれる症状です。

図1)梨状筋と坐骨神経

図1)梨状筋と坐骨神経

症状を軽減するためには、便座にかかる臀部の荷重を軽減すること、それと長い時間トイレに座ることを改善する必要があります。トイレに座った形で、体の前方でもたれる姿勢により、臀部への荷重を軽減する方法があります。これで、内またの姿勢がいくらか軽減され、足の痺れになる梨状筋の伸張を軽減することができます。

もう一つの問題であるトイレに長時間座ることを改善しなければ、足の痺れを軽減し、転倒を予防することにつながりません。トイレに長時間座っている理由は、やはり「出にくい」からだと思います。「出やすい」と座っている時間は短くなると思います。

排便しにくいのは筋肉の影響を受けているようです(諸説あります)。「出にくい」を作り出している要因は「恥骨直腸筋」の伸張にある様です。直腸を回り込むように取り巻いている恥骨直腸筋が伸張されると、肛門直腸角が鋭角になり、排出しにくくなります。恥骨直腸筋が緩むと、肛門直腸角が鈍角になり直腸からの排出が行いやすくなります(図2)。出やすくする為には、恥骨直腸筋を緩める姿勢を取ることです。その為には、大腿骨と体幹のなす角度を約35°にすると排出しやすいとされています(図3)。

図2)骨盤の傾斜と恥骨直腸筋よる直腸肛門角の変化

図2)骨盤の傾斜と恥骨直腸筋よる直腸肛門角の変化

図3)大腿骨と体幹のなす角度

図3)大腿骨と体幹のなす角度

排泄しやすくする為には、①座面にかかる圧力を軽減して、梨状筋をゆるめる姿勢を取り、足が痺れにくくすること、②体幹と大腿骨の角度を35°にして、恥骨直腸筋を緩めて排泄しやすくすることが必要になります。それらを実現することで、排泄過程での転倒の予防につながっていくと思います。

体幹前屈で体の前方でもたれる姿勢になること、座位でのもたれ手すりを使用することで、痺れの軽減、排泄しやすさの2つの効果を得ることができます(図4)。その時に、体幹と大腿骨が35°の角度を作り出すことが大切になります。

図4)トイレのもたれ手すり

図4)トイレのもたれ手すり

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