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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

触っているだけでも手すりには
姿勢保持に効果がある!
暗い場所での移動支援にも

日本語では「手すり」と表記されますが、英語では「Handrail」、「Grab bar」と表記され、手すりの使用の仕方によって使い分けられているようです。通路や廊下などを伝って歩行する場合はハンドレール、トイレや浴室・玄関などで把持して立ち座りを行う場合はグラブバーとなるようです。

手すりは視覚的に確認し、伝う・把持することで、姿勢の保持及び歩行を支援してくれます。しかし、見えていないと手すりとしての効果がないかと問われると、それは「No」です。

見えていなくても手すりは、立位姿勢保持を支援してくれます。暗い所でも手すりの位置がわかっていれば、姿勢を保持し、転倒を予防してくれます。

それらを確認した実験があります。片脚立位の際に、支持なし・ライトタッチ・フォースタッチの3つの条件が設定されていました。実験では、「ライトタッチ(Light touch)」として、体の手前で、手を使用しての接触で、荷重は1N(ニュートン)以下とされていました。1Nは重量キログラムに換算すると約0.102kgfで約100g程度になり、軽く触れている程度になります。「フォースタッチ」は5N以上の荷重をかけての接触でした。

実験結果は、支持なし<フォースタッチ<ライトタッチの順で、姿勢保持での動揺が少なくなっていました。ライトタッチで支持している足以外の部分での接触が、身体の軸をより明確に確認できる条件となったようです。

手すりに軽く触れる「ライトタッチ効果」で、立位姿勢での動揺等を軽減してくれます。暗い場所においても、手すりが設置されている場所が把握でき、手すりに触れることができれば、移動の支援に効果が見込めます。

図1)ライトタッチの実験の様子

図1)ライトタッチの実験の様子

今回、紹介させて頂いた「ライトタッチ効果」は手すり以外に杖の使用においても軽く握ることで、姿勢の保持に良い効果を及ぼすことが示されています。今後、色々な場面で効果が示されていくと思います。

注意が必要だとすれば、感覚の障害がある場合には、「ライトタッチ効果」が得られるかはわかりません。

触れる手すりの設定の際には、片脚立位姿勢を取り、手すりに触れた時と触れなかった時の姿勢の変化を確認して下さい。手すりに軽く触れた時に、ふらつき等が改善していることを確認できれば、触れる手すりの設置を検討しても良いと思います。逆に、触れた場合でも姿勢の動揺がある場合は、しっかりと持てるグラブバーとしての手すりの設置を検討する必要があると思います。

参考文献
新井智之、伊藤健太、高橋優太、丸谷康平、細井俊希他:片脚立位姿勢におけるライトタッチの効果
-ロコモーショントレーニングの基礎的検討-、理学療法科学、Vo.34、No.5、pp.559-564、2019

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