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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

要介護1の方の住宅改修で配慮が必要なこと

令和3年4月から令和4年3月までの間に介護保険サービスを継続して利用した方は、393.7万人です。令和3年4月と令和4年での介護度を比較すると、要支援1で23.0%、要介護1で20.4%と5人に1人以上の方の介護度が重症化しています(図1)。介護度が上がるにつれ、介護度の重症化する比率は減少していく傾向がみられます。また、介護度別に訪問介護の利用内容を見ると、介護度が重症化するにつれ身体介護が増え、生活援助が減少しています(図2)。要支援や要介護1では、生活活動での支援が必要になっていることが読み取れます。

図1)介護度別に見た年間継続受給者の変化別割合(引用文献1より)

図1)介護度別に見た年間継続受給者の変化別割合(引用文献1より)

図2)介護度別に見た訪問介護の利用内容(引用文献1より)

図2)介護度別に見た訪問介護の利用内容(引用文献1より)

話は変わりますが、回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢骨折患者の受傷前の要介護度と退院転帰を比較した研究で、要介護1において自宅退院率が低いことが報告されています。要介護1の自宅退院率が65.7%、要介護2で76.2%でした。要介護度1の受傷前のBI(Barthel Index)84.5点、退院時BI75.5点、HDS-R 17.6点、要介護2の受傷前BI76.2点、退院時BI67.0点、HDS-R16.6点と生活機能は要介護2で低い値でした。退院先に3人以上の家族がいる方は要介護1で30.7%、要介護2で37.3%、介護サービスの利用率は要介護1で44.4%、要介護2で53.0%でした。要介護2において自宅退院率が高かった要因として、家族構成や介護サービス利用の社会的要因の関与が大きいとしています。

また、要介護1の自宅退院率が低い要因は他にもあると思います。それは、要介護1と認定される過程です。認知機能の低下がみられ認知症の可能性が高い場合、半年以内に心身状態が悪化する恐れがあると主治医意見書から判断できる場合のどちらかが想定される場合に要介護1と判定され、それ以外の場合は要支援2と判定されます。

以上のことから、要介護1の方は心身状態の悪化、認知機能の低下が予測されており、それらへの十分な配慮が必要になるということがわかります。

要介護1の方を支援する場合、対象となる方が生活する環境で、行動する際に必要な情報が得やすいよう、明るく行動しやすく、生活機能が低下しても活動できる支援が求められると思います。

※HDS-R:長谷川式簡易知能評価スケール(認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテスト)

引用文献
1)令和3年度 介護給付費等実態統計の概況:厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/21/dl/02.pdf
2)西村博行他:回復期リハビリテーションを行った高齢骨折患者における介護保険の検討 ―要介護度と退院転帰の関係―、整形外科と災害外科、Vol.69、No.4、pp.843‐848、2020

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