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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

認知機能を維持する環境支援

皆さんの自宅の周辺には、運動・スポーツに取り組みやすいと感じられる環境や機会はありますか。習慣的運動の効果として、様々な認知機能が向上することが示されています。有酸素運動能力が高いほど、高齢者の海馬容積の増加と関連し、それが記憶能力の向上につながることが示されています。継続的な軽い運動を行うことで、記憶などの認知機能の維持・向上につながります。それらの運動習慣は、自宅近隣にスポーツができそうと感じられる環境があるかどうかに影響をうけ、あれば運動行動が促進されます。

運動・スポーツの実施状況と自宅近隣環境を比較した調査では、運動の実施には自宅近隣環境が影響していることが示されています。過去1年間に運動・スポーツを行った者と行わなかった者の自宅近隣環境を比較すると、運動実践者において、近隣にレクレーション施設がある、近隣で運動実践者を見かける(図1)、近隣の景観がよいが多く、女性においてはスーパー・商店へのアクセスが良いとの回答が多くありました。更に、近隣の交通量が多く危険を感じるとの回答は運動を実践していない方に多くありました。

図1)自宅近隣のスポーツ

図1)自宅近隣のスポーツ

運動習慣を作るには、これぐらいなら負担なく自身でできそうと思えるモデルを見つけることが、近道だと思います。自宅近隣で、散歩しやすい場所、ジョギングしている人、体操などをしている時間等、意識して探すことから始めてみては如何でしょうか。

運動の習慣を作り、認知機能を維持・向上させて行くには、屋外に出やすい環境を作ることも大切になります。
介護保険制度の認定調査項目にある爪切りは、運動機能が低下し始めると行いにくくなる活動の一つです。外出する際には、靴下や靴を履くなどの足先での物の操作を行います。これらを行いやすくなるように、玄関の上がり框で立ち座りが行いやすい椅子を設置することは検討したい事項になります。また、上がり框の段差の昇降を助ける手すりの設置も検討事項の一つです。玄関では、配達物の受け取りなどもありますので、上がり框を降り、履物を履いて、玄関口までの移動が容易に行えるよう動線への配慮も必要になります。加齢に伴い運動機能が低下することを踏まえると、段差をなくす・車椅子スペースを確保することは将来を見据えて考えておきたいです。

引用文献
1)Erik l. Erickson, Ruchika S. Prakash, Michelle W. Voss, Laura Chaddock, et al. Aerobic fitness is associated with hippocampal volume in elderly humans, Hippocampus., Vol.19, pp.1030-1039, 2009
2)鈴木宏哉:どのような自宅近隣環境が誰の運動・スポーツ活動に影響するか?、スポーツライフデータ、pp.44-48、2018

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