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コラム介護の専門家からみた
「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。
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理学療法士からみた
Sport(エスポート)
リハビリテーション福祉コンダクター
理学療法士
和田 圭市先生
高校生のときにオーストラリアでホームステイをしたことがあります。初めての海外生活に意気込んでいた私にホストファミリーから「Stop!」の声が。ホームステイ先に迎え入れてもらうその瞬間に、靴を脱ぐよう足止めされたのです。家の内と外に段差がなく、海外といえば土足のまま生活をするものという固定概念が引き起こした失敗でした。
日本には四季があり湿気の多い気候であることから床が高くなり上がり框が設けられています。そのため玄関には靴を脱ぐスペースもあり同じような失敗をすることは考えられません。でもそれは同時に車いすを利用する人たちに対して「Stop!」と言ってしまうことになります。杖で歩ける人なら手すりで解決することもありますが、車いすのまま家に上がるためにはスロープや昇降機の利用を考えます。玄関で利用する簡易のスロープは角度が急すぎて誰かに介助してもらうことが必要です。しかし、昇降機であれば自分で操作して一人で気兼ねなく家に上がることができるのです。
今まで伺った昇降機を設置してある一番素敵だった環境と聞かれると、ご夫婦で難病支援の団体を運営しているお宅を思い出します。そこには障がいのある人たちがたくさん集い、笑顔のあふれる温かい空間がありました。昇降機があって誰にでも門戸を開いてくれていて、障がいがあってもなくても誰でも来てくださいという気持ちが伝わってくるお宅でした。どんな人に対しても「お上がりください」と言えるおもてなしの環境づくりは、昇降機などを利用して車いすに乗った人たちが自分の力だけで家の内と外を自由に行き来できることが大切であると感じました。
玄関の段差をすべて手すりで解決するのではなく、エレベーターのように気兼ねなく利用できる昇降機を設置することは家の内と外をつなぐ自立への懸け橋となり分け隔てないおもてなしにつながるのではないでしょうか。