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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

自己効力感
自分でできるという自信作り

2014年から始まったコラムが5年目に入りました。ご愛読ありがとうございます。今年度は要支援者や要介護者の転倒予防の実際を自分の経験を交えて書きます。楽しみに読んでいただけることを期待しています。

転倒予防はなぜ必要なのでしょうか?骨粗鬆症などの影響で高齢者が転倒すると骨折しやすいことは以前お話しました。今回は、骨が折れなくても心が折れてしまう要支援者の転倒予防の必要性についてです。自分はそれが実行できるという期待や自信のことを“自己効力感”と言います。要支援者は転倒すると心が折れ自己効力感は著しく低下します。その結果、介護度が重度化すると言われています。

脳梗塞左片麻痺で自宅内の生活は自立している要支援1の男性利用者のケースでした。片麻痺によりつま先が下がるため装具を装着しています。つま先が引っ掛からないようトイレまで慎重に移動している方でした。しかし、ある日訪問すると移動することもままならないほど全く足が出なくなっていました。原因を追究すると夜トイレに行くときに転倒していたことがわかりました。受診して骨は折れていないことがわかりましたが、心が折れてしまったのです。転倒をきっかけに自己効力感が急激に低下し、何をするのも不安で自信が無いと言います。要支援だった介護度は要介護に見直され、あっという間に車いすでの生活に変わっていきました。

この方にどのような支援ができたのでしょうか?転倒してからでは手遅れです。障がいのある方には重度化の予防として転倒しない生活指導が重要となります。日中は杖で移動できていても、夜中寝ぼけているときには身体機能も低下するため杖より簡易手すりで移動することを勧めます。また、夜間だけはポータブルトイレや尿器を使うことを了承いただくことも1つです。一般的には自己効力感は成功体験などで向上すると言われますが、要支援者には自己効力感が低下しない失敗の予防が必要です。いつまでも自分でできるという自信が自立支援の大きなカギとなります。

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