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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

地域支援事業の転倒予防
要介護への移行を1/2~1/3程度に抑制できる

地域支援事業をご存知でしょうか?地域支援事業はデイサービスや訪問看護、福祉用具の提供などと並ぶ介護保険制度の1つです。大腿骨頸部骨折者や脳卒中片麻痺者に対する状態悪化の予防ではなく、虚弱な特定高齢者や健康な高齢者も含めた要支援・要介護状態にならないための予防事業です。高齢者の住む地域に出向き、公民館などで要介護にならないための転倒予防教室を実施するのです。

僕は福井県内の公民館をたくさん回りました。対象者は65歳以上の高齢者になりますが、実際は75歳以上の後期高齢者が多く参加していました。背中が丸くなりトボトボと足元を見ながら歩く高齢者が集まってきます。しかし、3か月間、週2回、1時間の運動機能向上プログラムに立ち上がりや歩行などの動作指導を加え、さらに1時間の栄養改善・口腔機能向上の指導をすることで少しずつ効果が現れます。始めは身体を動かすこともやっとですが、3か月後には背中が伸び姿勢をシャキッと顔を上げて明るい表情で若々しく歩いて公民館を去る姿が今でも印象に残っています。

90歳以上の虚弱高齢者であっても筋力トレーニングを行えば加齢に逆らって筋力や筋量が増加すると研究報告されています。地域支援事業でも多くの参加者が自分自身の姿勢の変化を感じられる3か月になります。同等機能レベルの非参加者と比較しても要介護への移行を1/2~1/3程度に抑制できるのです。しかし、効果が認められている地域支援事業であっても参加者が少ないのが現状です。運動という言葉に抵抗があり、参加したくない高齢者や機会を逃し参加が遅れる高齢者が多くいることが問題です。自分の身体は自分で守らなければいけません。転倒して骨折してから気づくのではなく、いつまでも自立した生活が送れるように今すぐ立ち上がることが必要です。1人でも多くの人が1日でも早く予防に取り組むことが地域の健康を守るための大きな課題となっています。

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