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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

転ぶための手すり
固定概念を持たないように

廊下に設置する手すりの高さをご存知でしょうか?一般的には杖と同じで床から75~80cmの大腿骨大転子の高さに設置します。廊下の手すりは杖歩行できる方が室内を安全に移動することを目的に、手すりを上から把持して手で身体を支えるように使います。

この概念があるからこそ、初めて見たときに目的を理解できなかった手すりがあります。なんと床から150cmの肩の高さに設置された手すりでした。何かの間違いか冗談だと思い、物干し代わりに使うのか3m近い巨人でもいるのか本人に質問したことを覚えています。ただ本人は真剣な顔をして「ぶら下がるための手すり」と答えを返してきました。糖尿病からの白内障が進んでいたため足元に何があるのか見えにくく、四肢末梢の感覚障害により足裏の感覚が鈍くなり何かを踏むと全てを痛みと感じ膝折れが起きるというのです。膝折れすると転倒は避けられないため、転倒したときに大事故にならないように考えられた手すりでした。肩の高さの手すりを電車のつり革のように下から把持し、膝折れした瞬間にぶら下がることでゆっくりとお尻を下ろすように転ぶことができるわけです。

僕は訪問リハをする上で、固定概念を持たないように心がけています。利用者一人一人の動作や生活パターンを素直に受け入れ、その人らしい方法を一緒に考えることが大切だからです。肩の高さの手すりは安全に転ぶことの重要性を教えてくれました。転倒しないことは理想です。しかし、どうしても転倒してしまうことがあるのも事実です。転倒を予防するだけではなく、安全に転ぶことができる環境設定も大切な発想なのです。

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