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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

手すりを使わない転倒予防
一人一人の症状や問題に合わせて

進行性核上性麻痺という難病を知っていますか?とにかくよく転倒する病気です。眼の動きが障害され足元に視線を向けられず、踵に体重がかかり、つま先が浮いた状態で立ち上がりや歩行をします。さらには危険認知が低下し、突然立ち上がるため後方への転倒が絶えない病気です。

進行性核上性麻痺の診断を受けてすぐの利用者でした。よく転ぶからという理由で家族から相談を受け、訪問リハが開始となります。初めて立ち上がり動作や立位姿勢を見たとき、背中に60kgぐらいの人を背負っているかのようで、常に身体を後ろへ引っ張られているような印象でした。

そこで、つま先側に体重をかけた立ち上がり動作や前方重心の立位姿勢から練習を始めました。リハ中は何とかできていても、それが身につくことはなく、1時間も経たないうちに元通りの立ち上がりや立位姿勢に戻ります。どれだけリハビリテーションを実施しても毎週のように「転んで頭を打った」と、後頭部の外傷をみせられて家族からの報告を受けます。ついに家族から手すりの設置を希望する声があがりました。

しかし、理学療法士として身体機能と今後の進行を考えると、手すりを設置しても転倒して後頭部を強打することを減らせるとは考えられませんでした。そこで提案したのが手すりの利用ではなく四つ這い移動です。歩行移動より頭の位置が低くなる四つ這い移動であれば、後方へ転倒して後頭部の外傷を無くせると考えたのです。本人や家族は戸惑いながらも提案を受け入れてくれました。その結果、後頭部の外傷はみられなくなり、四つ這いからの安全な転倒に変わりました。

手すりは万能ではありません。様々な病気があり、一人一人の症状や問題となる動作も違います。歩けないことや転倒することが問題か、転倒して後頭部を強打することが問題か見極めないといけません。病気の特徴を受け入れて安心安全に生活できることが在宅で求められる支援となります。

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