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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

“かかし”のようなバランス
やじろべえ型は注意

バランスが良いとはどういうことを言いますか?転ばないこと、ふらつかないこと、体幹が強いこと。いろんな言葉に置き換わりますが、高齢者の場合は上手に片足立ちができることをバランスが良いと言います。バランスが良い片足立ちとは、支えている足の上に臍(へそ)があり、臍の上に鼻がある、足-臍-鼻が一直線上に並んだかかしのような姿勢のことです。“かかし型”であれば安定した歩行になり、“やじろべえ型”であればふらつきの大きい歩行になります。

日常生活の中で片足立ちをする機会は少ないように感じます。しかし、歩行動作をみてみると、例えば左足が地面に着いていて右足を一歩前へ振り出そうとするとき、その間は右足が地面から離れ、左足で片足立ちをしなければいけません。片足立ちが難しい高齢者は、足を振り出せないため歩幅が小さくすり足で歩くようになります。バランスが悪いと言っても、実はお尻周りの筋の筋力低下が原因になることが多いです。

特に女性に多い変形性股関節症や大腿骨頸部骨折では、股関節の手術が必要となりお尻周りの中殿筋を切開することが多いです。切開により中殿筋は一時的に筋力が低下し、片足立ちが出来なくなります。そうなると左足の上から臍は右に移動し、臍とは逆に鼻は左に位置することで「く」の字になって身体を左右に振りながら歩きます。やじろべえのように左右に振られても真ん中に戻ろうとすればいいのですが、実際は振り出す足を持ち上げられずにすり足になるためつまずいて転んでしまいます。高齢者の転倒の多くは、筋力低下が原因で片足立ちが出来ずバランスを崩してすり足となり転びます。バランスの良い片足立ちができるように、まずは手すりや椅子の背もたれを持ちながら足-臍-鼻が一直線になるような片足立ちの姿勢を覚えてもらいます。徐々に力がついて手すりが要らなくなったら、次に支えている左足と反対の右足を真横に30cm程持ち上げ下すことで中殿筋の筋力アップを図ります。このとき、持ち上げている右足だけでなく支えている左足のお尻周りも疲れてきたら大正解です。

まずは鏡の前で自分の姿勢を確認することから始めましょう。足-臍-鼻が一直線のかかし型なら安心です。しかし、足-臍-鼻が一直線にないやじろべえ型のふらふらしている片足立ちなら注意が必要です。地面に刺さった“かかし”のように上手な片足立ちで、ふらつきの少ない歩き方ができるようになりましょう。

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