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コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修コラム-介護の専門家からみた福祉用具・住宅改修

コラム介護の専門家からみた

福祉用具・住宅改修

「理学療法士からみた福祉用具」、「作業療法士からみた住宅改修」を交代でそれぞれの視点から、専門的な知見を踏まえお伝えするコラムです。

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からみた

立ち上がり動作が上手くなる手すりの使い方

最近、手すりを使う理由について考える機会が増えました。手すりは介護のために使うのかリハビリテーションのために使うのかどちらでしょうか?介護する手段の1つとして手すりを使うことはありますが、本来の目的は立ち上がり動作の自立を支援するために手すりを使います。転ばないように安全確保のために使う介護の観点ではなく、本人が自分の力を発揮して立ち上がりやすくするために使うリハビリテーションの観点が自立支援としては理想です。

リハビリテーションの観点で動作を分析すると、立ち上がり動作では座面からお尻を持ち上げることが難しく、お尻を持ち上げるために身体を前に倒して頭を膝より前に出すことが必要になります。このとき、体幹だけではなく骨盤が前に傾くことが重要で、骨盤が前に傾くためには腸腰筋といわれる股関節を屈曲する筋が働くことが求められます。この腸腰筋のトレーニングは、正しい姿勢で行うのがとても難しいため手すりを使うことをお勧めします。

座った姿勢で膝の右横に手すりを配置し、しっかりと骨盤を立ててヘソを正面に向けて座ります。骨盤を立てた座位姿勢からヘソをわずかに下へ向けながら右膝を5cmだけ持ち上げます。無意識に膝を持ち上げると骨盤が後ろへ倒れてヘソが上を向いてしまうため、右手で軽く手すりを把持してヘソが下を向くように姿勢を保ちながら、少しだけ膝を持ち上げるように意識してみてください。さらに、手すりに置いた右手で鉛直下方向へ押すように力を加えながら、左足で地面を踏みつけて右膝を持ち上げることができれば体幹まで力が入り姿勢が安定します。手すりを使って腸腰筋や体幹のトレーニングをすることで安全な立ち上がり動作を促すことができます。

立ち上がり動作で手すりを使う理由は、お尻を座面から離して重心を持ち上げるためです。その一瞬が難しいために、手の力も借りられるように手すりを設置し環境を整えます。転ばないように安全を確保するという考え方は結果論であって、立ち上がり動作を自分の力でできることが本来の目的であり転ばないことにつながります。リハビリテーションの観点で考えると、手すりを使ってその人の持っている力を最大限に発揮してもらうための手すりが、自立支援を考えた手すりの提供といえるのではないでしょうか。

手の力も借りられるように手すりを設置し環境を整えます
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